・ ある日のケンカの場面
昼寝の前に、絵本と紙芝居を読んでいます。読みおわるとたいてい「その本借りてく」という子がいて、ある日、とりあいになった。先に言ったのはゆうや君。先に絵本をもったのはけいた君。
さて、その行方は?ゆうや君は泣いて「何でけいたがとってくの!?」と訴えるが、けいた君はもう自分のものとかかえこんで逃げる。ゆういちろう君が「ゆうやが先だったよと言ってけいた君の持っている本をとりあげとっくみ合いのケンカになった。2人とも泣き泣きケンカしているところへ、ゆうや君がけいた君をたたきにきて複雑化しかかる。絵本がやぶけてしまいそう。
2人ともこの本が借りたいと言いはり、「けいたも借りたいけどゆうやも借りたいんだって、ゆうやも借りたいけどけいたも借りたいんだって、困ったネェー、同じだねえ」というとけいた君は「ゆうやよりもけいたのほうが借りたい」という。エーッ、そんなこと何で、わかるんだ?どうやって判断したの?ゆうや君は「ゆうやだってけいたより、もっとこの本借りたい」という。ゆういちろう君は、「ゆうやの方が借りるんだよ、ゆうやの方が早かったもん。けいたはダメだよ」早い者勝ちを主張するゆういちろう君。「困ったネェ、図書館の本だけど半分に切ろうか?こういうふうがいい?それともこういうふう(と左右半分か上下半分に切るマネをする)?でもこれじゃあお話の意味がわからんくなるよネ。じゃあ前編後編に分けるか」と何度もいうが2人とも「イヤだイヤだ」と泣きじゃくる。
ゆうや君は少しずつ冷静になってきて「図書館の人かしてくれんくなるよ」という。けいた君は泣くばっかり。けんちゃんといっちゃんにもどうしたらいいか聞いてみたら、「ジャンケンする」という。「勝ったら今日借りて負けたら明日にしよう」というがけいた君は「ジャンケンはイヤ」と泣きつづけ、ゆうや君は、「早くジャンケンしようとケロリとしている。前田に助けをもとめ、「けいたはジャンケンしたら勝つかもしれんのにせんかったら棄権だよ、いいの?」というところまでになり最後までけいた君はジャンケンを拒否してゆうや君が借りることになった。
夕方まで前田が預かっておくからとりにきてねということになっていたのにゆうや君がちがうのかりることにしていてけいた君が借りていくことになった。無言で自分のものにするけいた君、泣くだけのゆうや君、やさしくておせっかいのゆういちろう君のおかげでこんな体験ができました。
2,3日後に汽車ぐみのあきお君とひろゆき君が絵本のとり合いになり、けいた君が「2人とも借りたいの?半分に切ろうか?こういうふうがいい?こういうふうがいい?本切ったらいかんネェージャンケンしようかジャンケン」と、まるで自分のときの再現をそのまましている様子をみるとすごいなァと思った。当のあきお君とひろゆき君はきょとんとしているのでおもしろい。
びわを満喫していたころは、よっぽど食べていたのか給食がすすまず、だけど自分でつける分をまだ調整できないため、食べられなくなったりすることが多かったのもあり、食器を小振りな器に変えてもらいました。残さず食べんといかんというしつけも大切ですがもうおなかいっぱいという本人の感覚も大切にしたいと思って対応しています。
びわの次はどどめ(桑の実)。車が多い道を行くので二人ずつ手をつながせ、順番をぬかさずに歩くように言って出かけた。あいにく、今年は去年ほど豊作ではなくてまだ赤かったり白かったりして残念だったけど、口のまわりと手を黒くして帰ってきました。
かみきり虫がいて、いちろう君とけんた君は、夢中でした(だんご虫やみみず、バッタ、トンボにすごく興味のある時期で、だんご虫やざりがにの絵本や紙芝居をタイムリーによんでいます)。西市場公園へ行く途中、道路に毛虫が歩いていて「どっちが前か?」とかもう興味津津!トラクターがきたので端によって通りすぎたあと毛虫が消えていた!!ちょうちょになってとんでったかなァとか、お母さんのところへ行ったとか話が盛り上がっていたもののほんとに不思議な出来事でした。
西市場公園では、あきお君が汽車のリズムを始めたのがきっかけでリズムをして、最後にしゅうじ君のリクエストで「むっくり熊さん」をやった。しんいち君のうんち騒動で大人が2人右往左往している間も、子どものみでむっくりくまさんをやっていたので感動しちゃいました。お花にチョウチョがとまっていたり、梅の実が落っこちていたり、柿の花が咲いていたり、西市場公園の池に死んだ魚が2匹いたり、タニシ、アメンボがいたりと自然にいっぱい触れることができました。虫を見つけたらいっちゃんけんちゃんを呼んだら、あとはこの2人がどんどん遊びを広げてくれます。
・ 散歩に行くときにだれと行きたいか聞いたらしのっちだけと行きたいという子もいて、しのっちと行きたい子と吉岡と行きたい子に分かれて出かけた。分かれてから行き先を話し合って決めた。
<しのっち組> 西市場公園 太一、けんた、ゆういちろう、けいた
<吉 岡 組> 石山のぼり こうた、あきお、ひろゆき、ゆみこ、あき
この日の石山のぼりがすごく楽しかった。ひろゆき君は散歩というと必ず「石山行きたい」というようになった。ちなみに最近年長と一緒に給食とおやつを食べるようにしているのだが、ひろゆき君はこうた君と一緒に、先頭に歩き、「探検してくるわー」と先に行き、戻ってきては報告してくれた。ゆみこちゃんは前回のときは泣いていたのにあきちゃんが泣かないもんだから、泣くのをやめてがんばっていて帰りの道ではあきちゃんと手をつないでいた。
・みのる君を新幹線ぐみと汽車ぐみのテーブルに混ぜて食事をするようにしている。テーブルがせまいので2ヶ所に分けているが、自然にあいている席に「入れて」といって食べ始めている。
しんいち君はホースでの水遊びに夢中になり、給食をいつも一番に食べていたのに、あとからくるようになったら、白ごはんが先に食べたくてひっくり返って泣いて訴えるようになった。
あきお君はいつもマイペース、みんながおやつを食べ始めていてもまだパジャマでうろうろしている毎日。大きなゼリーがおやつの配ぜん台に並び、みんなが並んでもらい始めた時にはさすがにビックリして、あわててパジャマを着替えに行ってギリギリ、おかわりをもらえたということがあった翌日から少しずつだけど、まわりを見ることができています。すごい学習能力に驚きました。
・ある日、しゅうじ君とりかちゃんが曲がり角でゴッツンコ!!しゅうじ君大泣き、「りかちゃん何でぶつかるの!!」とくってかかっていた。今のは避けれんかっただろうと思い見ていたら、りかちゃんは「ゴメンネ」という。しゅうじ君は泣きながら「やめて!!」と言いつづけ、「ごめんねっていってるからもういいの」とりかちゃん(確かにネェー)。「やめて!りかちゃん」としゅうじくん(もうやめてるけど・・・)。法律的には5分5分だよなァーと思ってみていたら、5,6回言い合ううちしゅうじくんが笑い出して一件落着。子どもってすっごい!!その後、自然に手をつないで遊び出した。
・ 家庭訪問と懇談会
新幹線ぐみの家庭訪問、汽車ぐみの懇談会のご協力ありがとうございました。何か心に残るものがあったでしょうか。子どもの表情が明るくなったなあという感じを受ける子が出てきました。やっぱり、家庭が基盤になっているということを実感できた気がします。子は親の鏡とはよく言ったもの、本当にそっくりだなあという場面によく出会います。だから「親が変われば子も変わる」ということになる。どこをどのように変わったらよいのかを学習するべき点だと思います。「自分の子どものことはどうしたらいいのかわからないのに、人の子どものことはよくわかるんだよネ」ということはありませんか。朝や帰りの時の親子の様子を観察していると参考になることが発見できるかもしれません。それには日頃の交流が必要ですが・・・。そこから育ち合うことができる気がします。
りかちゃんのお母さんは、懇談会のあと、「あまりに自分が声をかけすぎていたことに気づいた」と言っていました。どのようにしたらいいのか分からなくなった状態から、自分で「気付く」。すごいなあと思いました。日に日に、表情が変わってきたりかちゃんです。「もうお弁当食べたの?」「うん、だってお弁当少なくしてもらったモン」とはにかみながらニコニコというりかちゃんにビックリでした。全部食べんといかんと思っていたりかちゃんは、給食や弁当のとき最後の方はいつも困った顔をしていたのに・・・ゆみこちゃんのとなりで次から次へとゆみこちゃんと同じ色のマジックを使って同じ絵を同じことを繰り返しでしゃべりながら描いていたとき、何も言わずとなりにいた。どっちが描いた絵かわからず聞くと「こっちがりかちゃんで、こっちがゆみこちゃん」と何度も教えてもらった。途中でりかちゃんのお母さんが迎えにきた。ゆみこちゃんが描き終わったあと、りかちゃんがすっきりした絵を2,3枚描いて終了。このとき、ロングセラーのキティちゃんとミッフィーちゃんのキャラクターを思い出した。ある心理学者は、このキャラクターの人気の理由をこう分析したそうです。体は横を向いていても自分の方を両目で黙って見つめてくれている。ミッフィーは口がバッテンキティは口なしです。とても安心できるキャラクターなのだそうです。「本当に懇談会で言われたようにゆみこちゃんのマネばっかりしとるわ」と思って迎えにきていたお母さんが何か言ったら、このすっきりした絵は生まれなかったと思います。お母さんは、「私が自分のことをしゃべり、保育園のことをきかないとりんの方から今日カレーライスたべたよと話してくれた」とうれしそうに話してくれました。
ひろゆきちゃんは、「心ここにあらず」の保育園生活を送っていた。何故だろうと思っていたら懇談会で父の実家へ行きたがる(菓子とTVとお姉ちゃん)ことを聞いて、預ける時間を減らしてもらうように話した。父親と話し合い懇談会の感想にお父さんは「休みの日にばあちゃんのうちへ行くくらい大したことはない、毎日ひろゆきはかあちゃんかあちゃんと言っているのにちゃんと相手をしとるのか」という内容で、私もお父さんの感覚がすばらしいと思った。そしてお母さんはさらに、そのお父さんの言葉に、ずいぶん前に前田に言われた「母は港で子どもは船」という話を思い出し、ひろ君の相手をきちんとしようと思うと書いてあった。その感想文を受け取ったのは懇談会後、3,4日後のような気がするが、私はなんとなく懇談会の翌日の月曜日にひろゆき君がちょっといつもとちがうなあという感じを受けた。両親が懇談会後、話し合い、どうするのか決意しただけでいい方に向かい始めている。
ゆうや君は「今度、吉岡としのっちがゆうやのうちにくるんだよネ」と家庭訪問に行く一週間前から毎日のように言ってきてとてもたのしみにしてくれていた。それまでのゆうや君は、頭が痛いだのおなかが痛いだの、言うことが多く、自分の方に気をひこうとしていたのだと気づくのにずいぶんかかってしまいました。家庭訪問後は満足したのか気を引く必要がなくなったらしい。
ゆうや君のお母さんはお父さんに話さんといかんからといって聞きたいことを書き出しておいてくれてあり、ささいなことが心配なんだなあと思ったけど、きっとお母さんがそれで安心したのもあるのでしょう。
それぞれの家庭で、大事にされて育っているんだなァとあらためて感じることができた家庭訪問でした。お父さんのいる日を希望して迎えて下さったり、家にいるときの子どもの表情や、飾ってある子どもの絵や折り紙などの作品、写真などにうれしく思いました。今後の懇談会に生かしていけるといいなあと思います。