2007年度「卒園のしおり」から(11)
【ゆっくり、年長のゆきちゃん。】 上野 珠美
私がくさぶえ保育園で働きはじめて、倖平君、舞幸ちゃん、園ちゃん、太一郎君のクラスを担任して約1年半が過ぎる頃、私は一人の子を担当する事になりました。それがとても小さなゆきちゃんでした。
ゆきちゃんが入園したのは、今から約2年半前の2005年8月18日(木)でした。入園したばかりのゆきちゃんはとても不安な表情をして、ずっとお母さんを探すようにウロウロと歩き「ママ-」と泣き続け、だんだんと慣れるまでの約1ヶ月半、いっぱいいっぱい泣きました。最初は、話しかけても「バイバイ」と言われてしまい、少し寂しかったです。イヤ!、ここにいたくない、という時はいつも泣きながら「バイバイ」と言っていました。
そんなゆきちゃんが唯一落ち着けた場所はベビーカーでした。不安になるとベビーカーに自分で乗って、ゆきちゃんと2人でよく散歩に出かけたのを憶えています。ベビーカー(散歩)大好き、お父さん大好き、歌やリズム大好きなゆきちゃん。だんだんと保育園に慣れてきて、夕方まで外遊びも夢中で、大好きになりました。「いっちゃん、ずず」とみんなの名前を呼ぶようになり、「だまさん、だまさん」と呼んでくれるようになった時、笑ってくれるようになった時、私は本当にほんと~に嬉しかったです。
それから約2年半後の今、年長さん。1・2年前はみんなと関わる事が本当に少なかったゆきちゃんが、汽車組の子とすごく楽しそうに遊んだり、一心とすごい喧嘩をするようになりました。そしてえりちゃんが生まれてからのゆきちゃんは「お姉さんゆきちゃん」になりました。えいしょう君や長良ちゃん、小さい子にとても優しいゆきちゃんになりました。
そして何よりもゆきちゃんの成長を感じたのは、沖縄での公開保育のゆきちゃんの姿でした。今回のリズムは2日間行われ、午前2時間、午後2時間と長い時間、自分たちがリズムをしないときは正座で待つ。午後の最後の方は「眠たくなっちゃった」と言ってはいたけれど、長い時間本当に姿勢よく座って、みんなのリズムを静かにずっと見ることができました。とても大きくなったゆきちゃんは5人の真剣な年長の一人として、そこに座っていました。とても楽しそうにリズムをする姿、竹のぼりで泣くこともあったけど、両生類ハイでは自分で交互の足の親指を返していたのには驚きました。長かったようでとてもとても短かった私にとっての4年間。ゆきちゃん、舞幸ちゃん、園ちゃん、倖平くん、太一郎くん5人の年長との時間は、私にとって、わたしの保育生活にとって、とても大切な時間になりました。
卒園おめでとう。その素敵な笑顔で、ゆっくり、ゆっくり大きくなってね。