古宇利島体験記(2)

「沖縄」  汲田 恵子

 沖縄から戻ってからの晶の第一声は、「明日も沖縄行きたい!」だった。
さらに「ママ、途中で帰るなら最初っからいないほうがいい。ずっといるか、ずっといないかのどっちかにして」と晶は言った。 行きの電車では、半泣き顔で重たいリュックを背負っていた晶が、帰りの電車では、袋いっぱいの珊瑚と貝殻で一層重量の増したリュックを、絶対に自分で持つ!と言って離さなかった。「自分で自分のものを準備して、自分で持っていく、自分で使う」、沖縄でそれが出来た自分を誇らしく感じたのかな。最近はくさぶえに行くときも、起床したらすぐに二階で自分の衣類と一日の着替えを全部用意してリュックにつめてから一階に降りてくる。

 なにより沖縄旅行は、楽しいことばかりだったそうだ。

 「大波のザブーンとした海」「別荘」「実りの里保育園でうんていをしたこと、れんぶ(果実)をたくさん食べたこと」「実りの里保育園でヤギと散歩したこと」・・・晶は「もう、楽しいことばっかりやったんやて!」を繰り返した。 旅行中は「りんちゃんがいればいいのにねぇ」と何度か言っていた。
 実際、私にとっても本当に楽しいことばかりで「あっという間の沖縄旅行」だった。

 古宇利島は、別荘からの景色も、快適な別荘生活も、定食屋で聴いた三味線も、青々とした美しい海での遊びも、ヤモリの鳴き声も、食後のパッションフルーツも・・・とにかく贅沢三昧、最高の気分盛りだくさんの旅だった。シュノーケリングは自分の呼吸のリズムを意識するのに最適のスポーツだと思った。次回は、覚も連れて、もっとたくさんの魚を見てみたい。
 
私は、初め、ふみやといっしんが自分で荷物の準備ができないことを心配し、口うるさくなってしまった。それを前田に指摘された。 前田は、一人ひとりの子供たちにいろいろな声がけをしながらも、「誰がどこまでできるのか」「誰がなににつまづいているのか」をひとつひとつ手に取るように確かめていた。 宿泊を共にすると、今まで全く知らなかった子供の姿を発見する。
夜眠るときに、眠れずにグズグズ言ったり、親を恋しがったりする子はいなかった。
彼らにとって一日がどれだけ充実していたかを物語っているようだった。

私にとって「実りの里保育園」へ行けたことも大きな財産となった。
 園児たちは、豊かに茂る木々の葉の下で、赤土の泥遊び、プールでの水遊び、砂場遊び、ヤギのえさやり、散歩、小屋の掃除、うんてい、紐にぶら下がってターザンごっこ・・・と、自由気ままに遊んでいた。大自然に恵まれた環境で育つ園児たちは、日に焼けて、筋肉がパーンと張っていて逞しく見えた。 園庭で、職員による園児への声かけが、あっちからもこっちからも聞こえてきた。 沖縄の言葉(!?)は、なにを聴いても自分の耳には当たりが優しく聞こえるせいかな。 職員たちはそれぞれの持ち場で、園児たちに色々な要求をしているのだが、(0,1歳児全員に頭から水を浴びさせる等)、職員の「褒め言葉、温かい笑顔」に満ちた保育園だな・・と感じた。

 全員リズムのときの職員の園児への介助の仕方も、「迷いが無い」感じがした。 職員自身がとても鮮やかにキッチリと「どんぐり」をする姿を見て、まず自分がリズムができるようにならなければなにも伝えられないんだな・・と痛感した。

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