古宇利島体験記(3)

井藤 裕子

帰りの 電車で弘章が寝てしまったこと いつもこちらから聞かれるのを嫌がるので あまり 沖縄の話を聞かなかった。 その日 実家に用事があり寄った。祖父ちゃん、祖母ちゃんが 早速 聞いている。 
「沖縄楽しかった?」 
「うん。」  
 「良かったねえ。また 行きたいかね?」
「うん。」
 など 話をしているのを 遠くで聞きながら用事を済ます。 
家に帰る途中 「何が 楽しかった?」と 聞いた。「水族館と海」 と答えた。家に帰ってから 「汚れもの袋 出してね。」 「母ちゃん やってよ。」 「じゃあ、洗わんでいいよ。」「何で やってくれんのじゃ。母ちゃんは もう バカ」 と 泣き出す。 それでも、その夜は いつもどうりに寝た。次の日から いつもは、一人で出来ることを ぐずぐず言うようになる。 「こっちにきて 一緒にやってよお。」 「こっちに見に来てよお。」 など。 私が 「今は 行けない。」なんて言おうもんなら 「なんで怒るんじゃ。母ちゃんは もう バカ」と 泣き始める。「母ちゃんは 怒ってないけど」と言っても 「もう 知らんわ バカ」 と 泣くのが 4,5日続いた。      

 沖縄から帰ってきて 二日目の夜 寝る時に 手をつなぎながら 「ひろくんは、ご飯を食べとる時も 歯を磨いとる時も お風呂に入っとる時も 寝る時も 母ちゃんがいなくて 寂しかったの。」 と 言った。 「沖縄 楽しかったでしょ?」 「ううん、母ちゃんがいないから 楽しくなかった。」 それから 報告会のあと「ほんとに 沖縄 行かんの?」と聞く。「うん。もう いかん。」 「なんで?」「母ちゃんが おらんもん。」とのことでした。 行けば楽しいのだけれど、ふっと、母ちゃんを 思い出して 不安や憂鬱になるのだと 思います。ちなみに、「キャンプが 今度あるみたいだけど 行く?」と聞いてみた。「行く!」 「母ちゃん また 行けんけど ひろ 一人だけど・・・。」「行く!」と言ってました。

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