「くさぶえの一ヶ月」【園だより(2007年5月号)から】

                                           (文:篠原)

 新年度が始まり、約一ヶ月。そして私自身も、くさぶえにきて一ヶ月、経ちました。私は、今まで染み付いた教員主導の保育がすぐに出てしまい、未だ戸惑う事ばかりです。が、子ども達は違う。はじめの頃は、あきちゃんとたけしくんを筆頭に、大泣きする子もいました。たけしくんなどは特に、はじめのうち、花などに注意が向き気が紛れている時以外は、ずっと「おかあちゃん?おかあちゃんどこ?」と泣き声で連呼していました。こちらも、泣きたくなるほど胸が痛くなりました。今までいた園などでは、そういう子には「ほ~ら、こっちに楽しい事あるよ」と、お母さんから離れた悲しみから目をそらさせようとしていました。しかし、くさぶえでは、「自分の悲しみをしっかりと見つめること」こそが大切だと言われました。・・・正直、よく理解できませんでした。
 が、一ヶ月経った今、そのことで大泣きする子はいません。泣いても、朝別れの際にほんの2、3分泣く程度で、すぐに遊びに夢中になっています。お母さんとずっと一緒にはいられないという現実を受け止め、強さを身に付けたということかもしれません。リズム遊びの時間以外はほとんど自由に過ごしているくさぶえで、泥、土、砂、水は無限のものを与えているようで、みんなずっと遊び続け、飽きるということを知りません。

 そして、去年からの在園児。ひとつ、おにいさん、おねえさんになったわけです。ペンギン組さんと富士山組さんに対し、年長さんは喜んでオムツを変えてあげたり、ごはんの世話をしてあげたり。きしゃ組さんは、大きくなって今までと違う心持ちなのか、遊びに夢中。小さい子と一緒に遊んであげているのは、主に新幹線組さんです。例えば、わがままなところも時々見せるけいたが、小さい子にとても優しい。子どもというのは、「あの子はこういう子で・・・」と一言では括れない、子どもならではの考えを持っているのだなと、改めて感じました。

 ・・・と、書いてきましたが、全て、大まかな印象です。事実とはズレたことも書いてしまっているかもしれません(すいません・・・)。冒頭に書いたように、未だ戸惑い、子ども達と遊ぶことで情けなくもいっぱいいっぱいになってしまってますので。でも、はじめは私を遠巻きに見ていた子らも、最近は自分から挨拶してくれたり、たくさん話しかけてくれたりするのがとても嬉しいです。特に、はにかみ屋さん(?)のりかちゃんが、かなり話してくれるようになったこと、いっちゃんがいつも私に笑いを期待して満面の笑顔で話しかけてくることなどは、自分が今まで最も大切にしてきた、「笑いいっぱいの会話を通じ、人生を楽しむことを子ども達に伝える」ということがくさぶえでも多少なりとも役立っているな、ととても嬉しく思っています。

 一年間、子どもと共に成長したいと思っています。ただし、「毎日を楽しむ」ということを共に第一において。よろしくお願いします。                        

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