「子どもの様子」【園だより(2007年5月号)から】

                                           (文:上野)

<ペンギン組>
 しゅうへい・みなちゃん 水遊びが大好きなしゅうへいとみなちゃん。水の入った桶の中の雑巾や汚れた服をつかんでチュウチュウと吸い付いているしゅうへいと、ポイポイとほかって遊ぶみなちゃんで、気がつくとテラスが水浸しになっていたりします。風邪を引いていても、自分から桶の中に何度も入ってお湯遊びを楽しみます。二人とも顔に水がかかってもへっちゃらです。給食やおやつの時間になると、遠くにいてもみなちゃんのおやつが飛んできます。そして落ちているおやつをしゅうへいが食べて、何ともいえないくらいの幸せそうな自慢げな顔をします。

 あきちゃん・ももこちゃん・みどりちゃん  学びの森へ出かけたとき、お母さんと別れ最初は泣いていたのに、すぐ泣き止んで「あっ!」とたんぽぽをとると、同じくお母さんと別れて泣いているたけしくんを指さして大人の方を見た後、たけしくんにたんぽぽをあげていたあきちゃん。今度は同じように指さしてしゅうへいに上げている姿は心が温まりました。
 4月の始め頃、まだ保育園に慣れずにお母さんと別れるとテラスでずっと泣いているたけしくんとあきちゃんの姿がありました。そんな時、何も言わないで何もしないでただ隣にずっといたのがももこちゃんでした。
 土のお団子をあげると、みのるくんを見つけてお団子をトコトコあげにいくやさしいももこちゃんです。(その後すぐに、みどりちゃんにとられていましたが・・・)
 給食のときに、隣に座っている子に食べさせたくてしかたがないみどりちゃん。相手が嫌がっていても、自分の給食を「はい、あ~ん。」というような口も真似ながら、しゅうへいにあげている姿はかわいらしかったです。
 以前、給食の時間にみどりちゃん・あきちゃん・ももこちゃんの順番に並んで座っていたとき、みどりちゃんは嫌いな食べ物をあきちゃんのお皿に入れ、ももこちゃんは嫌いな食べ物をあきちゃんのお皿に入れ、それをあきちゃんが全部食べていました。
 ボールの取り合いで喧嘩をしたり、仲良し元気なペンギン組です。

<富士山組>
 たけしくん・みのるくん 4月の始め頃は、お母さんが帰ると「お散歩行く。お散歩行く。」と言って泣いていたり、お昼寝の時には「しのっちは?」「しのっちおいで」と言ってすごい力で大暴れしたときもありました。最近は少しずつ慣れてきて、自分からしのっちからはなれて、裸足で土遊びに夢中になっている姿も見られるようになりました。お散歩に行くと、よく話してくれ、たんぽぽが大好きなたけしくんです。今は泣かないでお昼寝できるようになりました。
 みのるくんは相変わらずリズムが大好きで、1番2番関係なく参加しています。食欲もすごく、おなかがすいているときのみのるくんの食べっぷりはすごい!!あっというまに目の前のおかずをたいらげてしまいます。ももこちゃんやしゅうへいとなにやら楽しそうに遊ぶ姿もみられるようになりました。しゅうへいと並んで桶のお風呂に入っているときなんかは、お互いにまねっこをしながら、ニコニコ楽しそうにしています。そんなみのるくんも弟が生まれ、お兄ちゃんになりました。

<年長組>
 4月になり、年長さんは早くも当番表をつくりました。朝には朝の会を班長さんが中心になってしています。こうたとそよは雑巾縫いもしました。そして、給食の時間は年長の子どもだけでご飯を食べるようになりました。
 うさぎ組の3月の頃は、年長になるんだ!という期待を持ってはりきっていた年長さんでした。でも、いざ年長さんになると不安と戸惑いの気持ちがあったのか「どうしていいのか…分からない…」といった雰囲気があって、いまひとつパワーの足りない年長さんでした。でも、だんだんと時間が経つにつれいつもの皆に戻ってきました。
 去年に続いて、汽車組・ペンギン組のお姉さん的存在のたよりになるみゆき。私(たまさん)が風邪をひいた休みあけ、「もう胃腸風邪は良くなったの?」と大人びた口調で心配してくれる優しい心のそよちゃん。ゆみちゃんは、大人が子どもに「○○するよー。」と呼びに行くと、手を後に組み胸をはり、「○○つるよー。」とはりきっている様子です。汽車組やペンギン組を気にとめて心配してくれる姿もあります。こうたは、今まではれいくんたち年長とよく遊んでいましたが、自分が年長になると、今度はこうたにゆういち・こうしろう・けいた(新幹線組)が後について、一緒に遊んで盛り上っています。   
 小さい子のお世話も年長さんにお願いする事がよくありますが、一番驚いたのは(意外)だったのは、太一が小さい子当番を張り切ってしてくれるようになりました。前に、りかちゃんが足がドロドロになって泣いていた時に、「バケツで足を洗わないとね。」と大人が言うのを聞いていた太一は、「このバケツ洗えばいいの?」と進んでバケツを洗い、水をくんでくれたことがありました。最近では、みなやしゅうへいの着替えをお願いすると、自分で作った歌を口ずさみながら、「動いたらいけないでしょう。」といいながらパンツをはかせようとしてくれる太一です。みなもしゅうへいもじっとしていないし、太一もすごくゆ~っくりなのではかせられないのですが、時間がかかっても諦めずにはかせてあげようとしていました。

「汽車組と新幹線組」【園だより(2007年5月号)から】

                                           (文:吉岡)

          汽車組: あきお、りか、ひろし、しょうた、ゆみ、いちろう
          新幹線組: いちた、けんた、こうしろう、ゆういち、けいた

・ 1人1人が1つ大きくなったことをとても幸せに受けとめているなあと感じています。ロールマットやリズム、給食やおやつの時に、名前を呼んでもあそびに夢中で耳に入らない子もいて、ちょっと大変!って気がして始まった11人のクラスです。ある日、おやつが始まって随分たち、もう片付けようというときにやってきたけいたとゆういち。おやつの用意をいちた、けんた、こうしろう、しょうたがはりきってやってくれるのとは対照的。全く、ずうずうしいにもほどがある。さて、次の日は、それにゆみちゃんとあきおも加わって4人がおやつに呼んでも来ない。やっぱり片付ける頃にやってきたので、さっさと片付けて、「もうおわったからおうちで食べてネ」と持たせることにした。さて、次の日は、この4人が早々におやつを食べていた。何事も、手間ひまかけて、最初が肝心と、体験重視の気持ちで対応したら、すごい学習能力だったので感動ものでした。

・ いちた、けんたはリュックの中身を自分で用意するように3月くらいから言ってからちゃんと続いています。忘れ物をするとお母さんのせいにしないで、しまった!!と思いつつ、借りにくる姿が愛おしいくらいです。そんな体験が、「どうしたの?忘れたの?貸してあげようか?」に、つながっていく気がします。

・ もう1つ、おやつの時の人工地震(震源地あきお)の様子。食事の時は3つのテーブルをくっつけてすきなところにすわってたべる。すわっているイスをちょっと動かしたらテーブルが動いておもしろくなって何度もするあきお、それを向かい側にすわっているいちたが「おやつがこぼれるネェ~」ととなりのけんたに言う。けんたのテーブルは動かないほうだからただきいている感じ。何度もテーブルが動いては、もどすのをくり返していたが大人は動いていない残り2つのテーブルにいたので、ちょっと傍観していた。大人が一喝したら瞬時におさまったであろう地震だったけど、子供たちの会話を聞いていると、大人がいつもどうやって対応しているのか鏡のように映し出されていて、うれしかったり、反省させられたりする。

・ 何といっても一番はりきっているのがしょうたくん、目が輝いていて、まるで別人です。今までは何だったの?って気がするくらい。りかちゃんも、泣けてしまうことがぐっと減った気がします。「おしっこでる」と言ってくれたり「こぼれた」と言えるようになったからなァ。アトピーはまだまだ大変ですが、お風呂に入ることで対策中です。あきお、いちた、けんたは食事中にしのっちと大阪弁ごっこをして、楽しんでいます。おかげでいっちゃんはよくしゃべるようになり、ニコニコ顔が多い。けんたも絵を描くようになってうれしい。ひろし、ゆみはマイペース。お昼寝のときにとなりにいくとすっごくうれしい顔をする。いつも待っている顔をしている。新入園児のいちろうは、よく食べ、よく動くし、さっと寝る。1才児が食事後、おふろに入っているとシャワーの音を聞くだけでとんでいきたくなる、水あそび大すきです。言葉が出ないけど指さしなどで大体のことは伝えてくれるし、こちらの言うコトはほとんど理解できている。まだ午前中のみの入園なので、おやつのとき「あれ?いちろうくんは?」ときく子がいます。
 ゆういちはちょっと体調がすっきりせず食欲が落ちていたけど、よくあそぶ。いつも男の子とあそんでいるときは激しいのに、りかちゃんと砂あそびしているときは、やさしくしていた。こうしろうとけいたは汽車組にやさしく声をかけることができる反面、ケンカもたえず、よくトラブっているけど言いたいことをはっきり言って、自分なりに立ち直っている。

 食べたら即、外へ走っていく元気な子ばかりの11人です。1年間、たのしみです。よろしくお願いします。

「ある日の風景」【園だより(2007年5月号)から】

                                           (文:土田)

 天気の良い日にお弁当を持ってみんなで学びの森にでかけました。車を止めて1歳児のペンギン組を降ろしたのは斜面を下って池のあるところ(養護学校のある方)。
 お弁当を食べる場所は斜面をのぼった大きなイチョウの木の下に決定!さぁ、チョコチョコとペンギン組が歩き出しました。
 一番手はやっぱりみどりちゃん。どこに行っても安定していて、感がよいのか、さっとみんなの後についてすぐに目的地に到着。斜面を上るのもスイスイ。
二番手三番手はあきちゃんとももこちゃん。あきちゃんは苦手な斜面に悪戦苦闘。ももこちゃんは始めての場所に戸惑いはあるし、思うように斜面を登ることもできずに泣き出してしまいました。そこへ手を差し伸べてくれたのが年長組のみゆみちゃんでした。あきちゃんの手を引き目的地まで連れて行ってくれました。そして座り込んで泣いているももこちゃんもみゆきちゃんに手をひいてもらいやっとのことで、到着。

 そのころしゅうへいとみなちゃんは・・・・・。しゅうへいは相変わらずのマイペースであたりをきょろきょろ。斜面の途中で座り込み動く気配はなし。みなは、斜面どころか、池を見た瞬間一目散に這っていき、後ろ向きになって入ろうとしています。仕方なく抱っこして斜面の途中まで連れて行ったけれど、くるっと向きをかえてまたまた池のほうにまっしぐら。さすがみなちゃん!感心してしまいます。5人それぞれ違っていておもしろい。ばらばらに行動しているように見えても、相手の行動をよく見ているし、お互いに世話をやきあっている姿もみられます。
 さぁ今度は、ペンギン組と一緒にどこに行こうかなぁ。

「くさぶえの一ヶ月」【園だより(2007年5月号)から】

                                           (文:篠原)

 新年度が始まり、約一ヶ月。そして私自身も、くさぶえにきて一ヶ月、経ちました。私は、今まで染み付いた教員主導の保育がすぐに出てしまい、未だ戸惑う事ばかりです。が、子ども達は違う。はじめの頃は、あきちゃんとたけしくんを筆頭に、大泣きする子もいました。たけしくんなどは特に、はじめのうち、花などに注意が向き気が紛れている時以外は、ずっと「おかあちゃん?おかあちゃんどこ?」と泣き声で連呼していました。こちらも、泣きたくなるほど胸が痛くなりました。今までいた園などでは、そういう子には「ほ~ら、こっちに楽しい事あるよ」と、お母さんから離れた悲しみから目をそらさせようとしていました。しかし、くさぶえでは、「自分の悲しみをしっかりと見つめること」こそが大切だと言われました。・・・正直、よく理解できませんでした。
 が、一ヶ月経った今、そのことで大泣きする子はいません。泣いても、朝別れの際にほんの2、3分泣く程度で、すぐに遊びに夢中になっています。お母さんとずっと一緒にはいられないという現実を受け止め、強さを身に付けたということかもしれません。リズム遊びの時間以外はほとんど自由に過ごしているくさぶえで、泥、土、砂、水は無限のものを与えているようで、みんなずっと遊び続け、飽きるということを知りません。

 そして、去年からの在園児。ひとつ、おにいさん、おねえさんになったわけです。ペンギン組さんと富士山組さんに対し、年長さんは喜んでオムツを変えてあげたり、ごはんの世話をしてあげたり。きしゃ組さんは、大きくなって今までと違う心持ちなのか、遊びに夢中。小さい子と一緒に遊んであげているのは、主に新幹線組さんです。例えば、わがままなところも時々見せるけいたが、小さい子にとても優しい。子どもというのは、「あの子はこういう子で・・・」と一言では括れない、子どもならではの考えを持っているのだなと、改めて感じました。

 ・・・と、書いてきましたが、全て、大まかな印象です。事実とはズレたことも書いてしまっているかもしれません(すいません・・・)。冒頭に書いたように、未だ戸惑い、子ども達と遊ぶことで情けなくもいっぱいいっぱいになってしまってますので。でも、はじめは私を遠巻きに見ていた子らも、最近は自分から挨拶してくれたり、たくさん話しかけてくれたりするのがとても嬉しいです。特に、はにかみ屋さん(?)のりかちゃんが、かなり話してくれるようになったこと、いっちゃんがいつも私に笑いを期待して満面の笑顔で話しかけてくることなどは、自分が今まで最も大切にしてきた、「笑いいっぱいの会話を通じ、人生を楽しむことを子ども達に伝える」ということがくさぶえでも多少なりとも役立っているな、ととても嬉しく思っています。

 一年間、子どもと共に成長したいと思っています。ただし、「毎日を楽しむ」ということを共に第一において。よろしくお願いします。                        

子どもの絵

文:前田綾子

 子どもが描く絵の意味をずっと考えてきた。今年の冬、ひょんなことから大型積み木を倉庫にかたづけて以来、子ども達はやたらと絵をたくさん描く。「あー、紙を買わなくちゃ。マジックも・・・。」と頭の片隅で思いながら、あの子ども達の大好きな大型積み木の存在は何だったのだろうか・・・?と思ってしまう。あの積み木は子ども達の夢であり、自己実現の第一手段、大好きな汽車やおうちや船や飛行機や、何でも作れる魔法の積み木。それがなくなったとたんに絵を描き始めた。

 斎藤公子はいう。「絵を描かなくちゃ死んじゃう。というくらい子ども達は絵を描きたがる。戦中や戦後すぐの子ども達の絵を描く紙を確保するためにどんなに苦労したか・・・。」子どもが生きているということは、絵を描くということ。子どもの絵で保育実践報告をする。子どもの絵をどう見るか?たくさん描く子もいる。全然描かない子もいる。絵を描かない子は生きていないということ?
 子どもの絵は子どもの脳とこころの丸写し、でも絵を見なかったら、なんの問題点も感じさせない子もいる。ところが、絵を見ると、どきっ!!
0歳から入園した子は1歳くらいから絵を描きはじめる。1歳児で多い子は1回のお絵かきで100枚くらい描く。一瞬で描いてしまうので、20枚なんてすぐ描けてしまう。こうして描き続けてきた子は、とにかく何かを表現しないと気が済まない。絵はもちろん、粘土でも工作でも、作文でも、マンガでも音楽でも。とにかく、何かをかいているか、作っているか、その時、その子どもは自分自身の主人公だ。決して受け身にはならず、自分の想いを頭とこころと身体をつかって何かを創っている。こういうふうになると斎藤公子のいうとおり、「絵を描かなくちゃ死んじゃう」状態だ。これこそが生きているということかもしれない。

 子どもの描く絵をみていると、とくに1歳児。何の打算もおもわくもなく、ただ、自分の腕の振り方だけで描いている。こういうふうに描いたらほめてくれるかな?なんて思わない。その線の一筋一筋にその子の脳とこころとからだが丸写しになっている。脳の発達や脳波の状態・骨格・筋力そしてこころの中までも。外見からはとてもわからないようなことまで子どもの絵は物語っている。
3歳を過ぎるころから子どもの絵はだんだん変わってくる。それはその時代を反映している「文化」というものを子ども達は敏感に感じ取ってそれを絵で表現できてしまうから。アンパンマンだってドラえもんだってトーマスだって、文字や数字や英語だって、描けてしまう。ぬりえや絵かき歌だって子どもの自由な想像力を壊してしまう。

 子どもが自由で、自分の人生の主人公であることを自覚できるような生活をしている子どもの絵はいつ見ても楽しい。今、くさぶえで朝と夕方、毎日絵を描いている子が何人もいる。他の子が何を描いているかなんて見向きもしない。自分の描く絵に夢中だ。その集中力はすごい。
 いっちゃんは線路ばかりの絵を描いていても、すごい集中力で描く。紙の隙間がないくらい線路を描く。たいち君はある日、突然、描き始めた。恐竜・馬・車・家。あんなに描かなかった子がどうしてこんなに描くようになったのか、とても不思議。ゆう君の絵はとても素直な絵。どんなものでも可愛らしく素直に表現できてしまう。コウ君は1歳の頃からずっと自分のペースで絵を描き続けている。5歳とは思えない構図。コウ君の目は自分の顔についている目と、遙か彼方から自分を見ているもう一つの目で見て、描いているような絵を描く。他にも自分の世界を自由に表現している子達がたくさんいる。
 絵を描く楽しみを身につけた子は、人生に大きな財産をもっている。絵ほど自由で基準がなくて、平易なものから難易なものまでを幅広く表現できるものはないと思う。

 くさぶえに入園した子ども達にプレゼントできるものがあるとしたら、それは絵を描く時間と紙とペン。卒園していく子には、誰にも奪われない「自由な表現力」を贈ることができたら、最高に嬉しい。

▲ ページの先頭へ戻る

Copyright © 2015 くさぶえ保育園 All RIghts Reserved.